「教育費は学資保険で積んでおけばいい」と思っていました。子どもが生まれたころの僕は、たぶんそう答えていたと思います。
いまは違います。わが家は学資保険を使っていません。そして2027年1月に始まる予定の「こどもNISA」も、全額をそこに寄せるつもりはありません。
子ども3人、共働き。ジュニアNISAを3人分運用してきて、廃止のドタバタも出口の複雑さも経験しました。その上で、教育費をどう置くかをどう決めたのかを書きます。
※わが家の資産額や積立額は公開していません。この記事では、考え方と判断の順番だけを書きます。
先に結論:最低ラインは現金、上乗せをこどもNISA
わが家の結論はシンプルです。
- 教育費の「絶対に必要な最低ライン」は、現金・預金で確保する
- その上乗せ部分を、こどもNISAで育てる
- 学資保険は使わない。死亡保障が必要なら、掛け捨ての保険で別に用意する
全額をどちらかに寄せる必要はありません。ここがいちばん伝えたいところです。
この2つは「別の道具」です
どちらが得かを比べる前に、性質がまったく違うことを押さえておくとラクになります。
学資保険は「約束」を買う道具
学資保険は、契約した時点で受け取れる金額がおおむね決まります。相場が下がっても金額は変わりません。そのかわり、大きく増えることもありません。
低金利とインフレが重なる環境では、受け取る金額が同じでも、そのお金で買えるものは目減りします。「減らないけれど、実質では負けることがある」。これが正直なところです。
こどもNISAは「見込み」を買う道具
こどもNISAはつみたて投資枠と同じ投資信託を買う制度です。長い目で見れば増えていく見込みはありますが、減る年もあります。受験や進学の直前に相場が下がっていたら、そのタイミングでは目減りしたまま使うことになります。
この「使う時期が決まっているお金」と「価格が動く商品」の相性の悪さが、教育費を全額投資に寄せられない理由です。
制度のかたちを、ざっと確認しておく
こどもNISAは2025年12月の税制改正大綱で創設が示された制度で、開始は2027年1月の予定です。現時点でわかっているかたちは次のとおりです。
- 対象は0〜17歳。子ども名義で口座を開く
- 使えるのはつみたて投資枠のみ。年間60万円、非課税保有限度額600万円
- 非課税期間は無期限
- 引き出しは原則制限あり。12歳以降、一定の要件で払い出し可能
- 18歳になると通常のNISAへ自動移行
制度の詳細は2026年中に政令・省令で確定する予定です。最新の内容はこどもNISAの解説記事にまとめています。
学資保険が向いている家庭
向き不向きははっきり分かれます。学資保険が合うのは、こういう家庭だと思います。
- 値動きを見ると落ち着かない。金額が動かないこと自体に価値を感じる
- 手元にお金があると使ってしまう。強制的に引き落とされる仕組みがほしい
- 親に万一があったときの備えを、教育費と一本にまとめておきたい
「増やせるかどうか」より「続けられるかどうか」で選ぶ、という判断は十分にありえます。積立を途中でやめてしまうくらいなら、仕組みに任せたほうがいい場面はあります。
こどもNISAが向いている家庭
- すでに親の新NISAを動かしていて、値動きに慣れている
- 教育費の最低ラインを、別に現金で確保できている
- 使う時期まで10年以上ある(子どもが小さいうちに始められる)
- 大学進学だけでなく、その先に残すお金としても考えている
18歳で通常のNISAへ自動移行するので、使わなければそのまま子ども本人の資産として運用が続きます。「教育費の箱」というより「子どもに渡す最初の資産」と考えると、使いどころが見えてきます。
親に万一があったときを、どう代替するか
学資保険をやめるときにいちばん引っかかるのが、ここだと思います。契約者である親に万一があった場合、以後の保険料が免除されて受取額は守られる、という仕組みがあるからです。
わが家は、これを掛け捨ての死亡保険で置き換えました。考え方はこうです。
- 「増やす」と「備える」を、ひとつの商品に混ぜない
- 増やすのはインデックス投資、備えるのは掛け捨ての保険。役割を分ける
- 分けたほうが、それぞれの中身と費用が見えやすい
混ぜると、保障にいくら払っていて、運用にいくら回っているのかがわからなくなります。分けておけば、片方だけ見直すこともできます。
子ども3人分を、どう振り分けたか
子どもが複数いると、1人あたりの判断を3回くり返すことになります。わが家が決めた順番はこうです。
- まず家計の生活防衛資金を厚めに確保する。考え方は生活防衛資金の記事に書いています
- 次に、子ども3人分の「最低ライン」を現金で置く。ここは絶対に投資に回さない
- そのうえで余るぶんを、親の新NISA → こどもNISA の順で積む
順番が大事です。親の口座が先、子どもは後。家計の土台がないまま子どもの投資を始めると、相場が下がったときに売らざるをえなくなります。
よくある質問
学資保険にもう入っています。解約したほうがいいですか?
途中解約は元本を割ることが多いので、「やめたほうが得」と一律には言えません。すでに払い込んだぶんは残したまま、これから増やす部分をこどもNISAに回す、という分け方のほうが現実的だと思います。
こどもNISAは途中で引き出せますか?
原則は制限ありで、12歳以降に一定の要件を満たせば払い出しができる見込みです。細かい条件は2026年中に確定する予定なので、確定後の情報を確認してください。
信託報酬0%の「ゼロカン」が出たと聞きました。待つべきですか?
慌てる必要はない、というのがわが家の結論です。理由はゼロカンは買うべき?の記事に3つ書きました。
児童手当をそのまま回すのはどうですか?
入ってくる時期と積み立てる時期が合うので、仕組みとしては相性がいいです。ただし、生活費の一部として使っている家庭も多いので、回せるかどうかは家計を見てから決めてください。
まとめ
こどもNISAと学資保険は、どちらが正解という話ではありません。役割が違う道具です。
- 学資保険は「約束」を買う道具。減らないが、インフレには弱い
- こどもNISAは「見込み」を買う道具。増える可能性があるが、減る年もある
- わが家は、最低ラインを現金で確保して、上乗せをこどもNISAに回す
- 親に万一の備えは、掛け捨ての保険に分けて持つ
- 順番は、生活防衛資金 → 親の新NISA → こどもNISA
※この記事は筆者個人の経験と考えをまとめたものです。こどもNISAは2026年中に詳細が確定する予定の制度です。投資するかどうか、保険に入るかどうかは、最新の情報を確かめたうえで、ご自身で決めてください。