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はじめに:値上げのたびに、ため息をついていませんか?
スーパーに行くたびに値札が上がっている。電気代も、外食も、子どもの習い事も。「給料は少し上がったのに、生活はちっとも楽にならない」。
そう感じるのは、あなたのやりくりが下手だからではありません。お金の世界での「立場」が一つ足りないだけかもしれません。
僕自身、投資を始める前はお金のことを何も知りませんでした。きっかけは、たまたま見たYouTube。リベラルアーツ大学の両学長の動画で、はじめて投資やお金の仕組みを知りました。
そこから2019年にインデックス投資を始め、今も続けています。
この記事では、共働き会社員の僕が、お金と時間に余裕を持つためにいちばん大切だと考えている「3つの立場」の話をします。
結論:お金の世界には「3つの立場」がある
経済の中で、私たちは次の3つの立場のどれかに立っています。
- 労働者:働いて、会社から給料を受け取る
- 消費者:お金を払って、会社から商品やサービスを買う
- 資本家(株主):会社の一部を持ち、会社の利益を受け取る
多くの人は、最初の2つしか持っていません。給料を受け取り、それを使う。これだけです。
お金は、この3つの立場の間をぐるぐる回っています。会社は労働者に給料を払い、消費者から売上を得て、そこで生まれた利益を資本家に分配します。
労働者と消費者の立場しかない人は、この循環の「出口」に席がないのです。
なぜ「労働者と消費者」だけだと苦しくなるのか
値上げが起きたとき、何が起きているかを3つの立場で見てみましょう。
- 消費者として:支払いが増える
- 労働者として:給料が上がるまでには時間がかかる
- 資本家として:会社の売上と利益が増え、株価や分配として戻ってくる
労働者と消費者だけの人は、値上げの「支払う側」にしか立てません。
実際、日本の賃金は長い間、物価に追いついてきませんでした。2025年通年で実質賃金は4年連続のマイナスでした。
2026年に入って前年比プラスに転じましたが、2026年3月の実質賃金指数は2020年平均を100として86.8にとどまっています。給料で買えるものの量は、2020年と比べて1割以上少ない水準です。
値上げは「お金の価値が下がった」ということ
100円のパンが120円になった。これは「パンが高くなった」とも言えますが、「100円の価値が下がった」とも言えます。
通帳の数字は変わらなくても、その数字で買えるものが減っていれば、実質的には資産が減っているのと同じです。経済学ではこれを「貨幣錯覚」と呼びます。
人は目に見える株価の下落は怖がるのに、目に見えない購買力の低下には気づきにくいのです。
家計もこの変化を感じ始めています。家計の1年後の予想インフレ率(中央値)は足元で+10%と高く、現預金の実質的な目減りが意識されやすい環境になっています。
「預金だけ」は、日本円への集中投資
「株はリスクがあるから怖い。預金なら安全」。多くの人がそう考えています。
でも、資産をすべて円の預金で持つことは、見方を変えれば「日本円」という一つの通貨に全財産を集中投資しているのと同じです。額面は減りませんが、物価高や円安が進めば、実質的な価値は静かに減っていきます。
考えてみると、給料は日本円、年金も日本円です。そのうえ貯金も投資も日本円や日本株だけだと、人生のお金のほとんどが「日本」という一つの国に集中してしまいます。
日本の家計は、今も資産の多くを現預金で持っています。2026年6月末の家計金融資産は2519兆円で、そのうち現金・預金は1132兆円、およそ45%です。ただ、流れは変わりつつあります。
現預金比率は長く50%台前半でしたが、2025年6月末に50%を割り込みました。
リスクには「値動きのリスク」と「目減りのリスク」の2種類があります。預金は前者がない代わりに、後者を抱えています。
大事なのは、どちらか一方を避けることではなく、どのリスクを、どのくらい、何のために取るかを自分で選ぶことです。
会社員のまま「資本家」になる方法
「資本家なんてお金持ちの話でしょ?」と思うかもしれません。でも今は、100円からでも世界中の会社の株主になれます。その方法がインデックス投資です。
インデックスファンドを買うと、全世界株やS&P500のように、市場全体の会社を少しずつまとめて持てます。
スーパーで払ったお金も、スマホ代も、その一部が企業の利益を通じて、株主であるあなたに戻ってきます。
インデックス投資をおすすめする理由は、再現性の高さです。
- 市場全体を持つので、平均的な成長をそのまま受け取れる
- 手数料が非常に低い
- プロが運用するアクティブファンドの多くは、長期では市場平均に負けている(米国ではS&P社のSPIVAレポートで、15年でおよそ9割が負けるという結果が繰り返し出ています)
僕がS&P500を選んだ理由
僕が選んだのは、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)です。理由は5つあります。
1. アメリカの成長力の実績 ── シーゲルの「200年チャート」
ジェレミー・シーゲル教授の『株式投資』に、投資家の間で有名な一枚のグラフがあります。
1802年に株式・長期債・短期債・金・現金(米ドル)へそれぞれ1ドルずつ投資したら、200年後にいくらになっていたかを比べたものです。

出典:書籍 ジェレミー・シーゲル氏 「株式投資の未来」
結果は、次のようになっています。
| 資産 | 1802年の1ドルが… | 実質リターン(年率) |
|---|---|---|
| 株式 | 約93万ドル(2013年時点) | 約6.7% |
| 長期債 | 約2,163ドル | 約3.6% |
| 短期債 | 約245ドル | 約2.5% |
| 現金(米ドル) | 約0.05ドル | 約マイナス1.4% |
※インフレを差し引いた実質値、配当は再投資。数値は版によって異なります。
このグラフから読み取れることは、大きく2つあります。
株式は、200年にわたって年率7%前後で成長し続けてきたこと。この安定性は「シーゲル定数」とも呼ばれています。
世界大戦も世界恐慌もオイルショックもありましたが、それでも株式は長期では一直線に伸びてきました。
そしてもう一つが、現金を持ち続けた人の1ドルは、約0.05ドルまで価値が下がったということです。額面は1ドルのまま。でも、買えるものは20分の1になっていました。
物価上昇によって、毎年1.4%ずつ価値が削られ続けた結果です。
これは、この記事の前半で書いた「預金だけは日本円への集中投資」という話と、まったく同じことを200年分のデータが示しているということです。
何もしないことは、安全ではなく「ゆっくり減っていく」選択なのだと、このグラフを見て腹落ちしました。
なお、この本は2025年に第6版が出て、データが2021年まで延長されました。傾向に変化はなく、株式は一貫して上昇し続けています。
ちなみに僕がこのグラフを知ったのも、リベラルアーツ大学の解説がきっかけでした。投資を始める前の自分に一番効いた1枚です。
2. 世界の中心がアメリカ企業
全世界株の中でも、アメリカ企業の時価総額は約6割を占めています。
- iPhone
- YouTube
- マクドナルド
- スターバックス
僕たちが毎日使っているインターネットやスマホのサービスの多くは、アメリカ企業のものです。
3. 人口動態
アメリカは先進国の中でも人口が増え続けている国です。一方、日本は少子高齢化が進み、日経平均は1989年の高値を回復するまで30年以上かかりました。
4. 日本円への集中を避けたい
給料も年金も日本円。だからこそ、投資先まで日本にする必要はないと考えました。
5. アメリカを外す理由が見当たらない
アメリカだけが正解だとは思っていません。どの国が伸びても取り込みたいなら全世界株も良い選択肢です。ただ、全世界株でも約6割はアメリカ。僕には、アメリカを外す理由が見当たりませんでした。
大切なのは、全世界株でもS&P500でも、自分で理由を持って選ぶことです。「日本人だから日本株」という発想(ホームバイアス)は必要ありません。
資本家になる前に:順番は「生活防衛資金 → 投資」
投資は余剰資金で行うのが大原則です。まずは生活費の数か月〜1年分を、すぐに引き出せる円預金で確保しましょう。この「生活防衛資金」があるからこそ、相場が下がっても慌てずに投資を続けられます。
※本記事にはプロモーションが含まれています。 「投資を始めたいけど、現金はいくら残しておけばいいの?」 「生活防衛資金って、みんな何ヶ月分持ってるの?」 共働き5人家族で2019年から投資を続けている私自身も、この「生活防衛資金」の考え[…]
一番大事なこと:暴落してもやめない
インデックス投資で一番多い失敗は、暴落時に怖くなって売ってしまうことです。
株価は必ず大きく下がる時期があります。リーマンショックでは米国株が高値から約5割下落し、コロナショックでは約1か月で3割以上下がりました。
それでも、どちらもその後に回復し、持ち続けた人は報われてきました。
僕は投資を始めて約1年後に、コロナショックを経験しました。そのときに思ったのは、「どうせそのうち上がってくる」ということだけです。
実際、回復がとても早かったので、今振り返っても「大暴落を乗り越えた」という感覚はあまりありません。
長期の成長を信じて持ち続ければ、暴落は「一時的な値下がり」にすぎない。これを身をもって学べたことは、大きな財産になりました。
3つの立場を持って変わったこと①:値上げの見え方
今も値上げは生活に影響します。スーパーの値札を見て「高くなったな」と思うのは同じです。
でも、それ以上に資産が増えています。
労働所得の伸びより、資産所得の伸びの方が大きい。フランスの経済学者ピケティが示した「r>g(資本の収益率は、経済成長率を上回る)」を、まさに自分の家計で実感しています。
値上げを嘆くだけの側から、値上げで利益を上げる企業の株主として、受け取る側にもなれた。これが、3つ目の立場を持った一番の変化です。
3つの立場を持って変わったこと②:働き方と時間
投資を始める前、僕は「お金と時間を交換する」働き方しか知りませんでした。働いた時間だけ収入が入り、働くのをやめれば収入はゼロ。労働所得だけの生き方です。
でも、資産に働いてもらう土台が少しずつ大きくなり、資産所得が育ってきました。すると、労働時間と収入が比例しなくなってきたのです。
労働所得と資産所得の両方があるから、労働時間を減らしても生活が成り立つ。自由な時間を「買える」、選べるようになってきた。
だからこそ、セミリタイアや短時間勤務という選択肢を現実的に考えられるようになりました。
お金のために時間を差し出すだけの生き方から、お金と時間を両立できる生き方へ。僕が目指しているのは、資本所得を「時間の自由」を手に入れるための道具として使う、ゆるやかな半リタイアです。
※本記事にはプロモーションが含まれています。 悩んでる人 セミリタイアには最低3,000万円必要って聞くけど、本当に足りる?セミリタイア後の仕事や収入はどう考えればいい? 悩んでる人 […]
子どもにも「3つの立場」を:2027年スタートのこどもNISA
この考え方は、次の世代にこそ伝えたいものです。学校では、家計管理や資産形成をほとんど教えてくれません。僕自身も、たまたまYouTubeで知るまで、投資という選択肢すら知りませんでした。
だからこそ、家庭で教える意味があります。
2027年からは、子ども向けの新しい制度が始まります。こどもNISAは2027年1月1日に開始され、つみたて投資枠の対象商品を定時・定額で買う仕組みです。
年間投資限度額は60万円、非課税保有限度額は600万円で、18歳になると成年のNISAのつみたて投資枠に自動で移行します。楽天証券では口座開設手続きの受付を2026年10月から始める予定です。
子どもの名前で世界中の会社の株主になる。それは、子どもが「労働者と消費者」だけでなく、小さな「資本家」として人生をスタートすることでもあります。
※本記事にはプロモーションが含まれています。 悩んでる人 「こどもNISA」が始まるってニュースで見たけど、何がどうなる制度?ジュニアNISAと何が違うの? 悩んでる人 子供が3人いるから気になる。児童手[…]
よくある質問
Q. 投資に回すお金の余裕がありません。
A. まず家計の固定費(通信費、保険、車など)を見直すと、投資に回せる余地が見つかることが多いです。投資は少額からでも始められます。
※本記事にはプロモーションが含まれています。 2024年〜2025年、物価高がより深刻になり、日本の共働き家庭は「給料はあるのに、なかなかお金が貯まらない」というジレンマに直面しています。 スーパーの食材、光熱費、通信費…どれも[…]
Q. 暴落が怖いです。
A. 生活防衛資金を確保し、余剰資金で長期・積立・分散を守れば、暴落は「安く買える期間」になります。売らずに続けることが一番のコツです。
Q. 全世界株とS&P500、どちらがいいですか?
A. どちらも有力な選択肢です。国の選択をしたくないなら全世界株、アメリカの成長に期待するならS&P500。どちらを選んでも、長く続けることが大切です。
まとめ:3つ目の立場は、今日から誰でも持てる
- お金の世界には「労働者」「消費者」「資本家」の3つの立場がある
- 労働者と消費者だけだと、値上げのたびに支払う側に回り続ける
- 預金だけは「日本円への集中投資」。目に見えない目減りに注意
- 200年のデータでも、現金を持ち続けた1ドルは20分の1に減った
- 生活防衛資金を確保したら、インデックス投資で資本家の立場を持つ
- 暴落はいつか必ず来る。やめないことが最大のコツ
- 資産所得が育つと、労働時間と収入が比例しなくなり、時間の自由が手に入る
会社員をやめる必要も、起業する必要もありません。働きながら、少しずつ資本家の立場を持つ。それだけで、値上げのニュースの見え方も、将来の時間とお金の余裕も変わっていきます。
親の口座がまだない方は、先に親の口座からです。
証券口座とセットで開く銀行口座とクレジットカードは以下がおすすめです。
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- SBIセット:ドコモSMTBネット銀行/三井住友カード(NL)
※本記事にはプロモーションが含まれています。 悩める人 新NISAとかインデックスとか情報が多すぎる。結局、何をどうすればいいのか結論だけ教えて 悩める人 始めるのが遅かった気がする。今からでも意味ある?  […]
参考資料
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査」
- 日本銀行「資金循環統計」
- 大和総研「家計金融資産レポート」「こどもNISAの概要」
- S&P Dow Jones Indices「SPIVAレポート」
- ジェレミー・シーゲル『株式投資』
→ 関連記事:【書評】FIRE 最強の早期リタイア術を子ども3人の共働き家族が読んで|取り入れたこと・取り入れなかったこと



